こんにちは!天野です
久々のアーカイブです
これは天野が昔書いたブログで既に読めなくなっているものを再掲載する企画です
前回は去年8月に「クサラというクルマ」をアーカイブしましたが、今回はみんな大好きXantiaです!
我らがハイドロ部長の愛車でもあります
2013年1月24日にシトロエン青山のブログに書きました
お店の閉鎖に伴って閲覧も編集もできなくなっていますので
手元に残してあるハードコピーを見ながら、一個一個手打ちしています。
(写真は辛うじて手元にデーターに残してありますが)
それではどうぞ!
久々にちょっと懐かしのシトロエンの話をしましょう
Xsaraに引き続きシリーズ第2弾はお約束通りXantiaです。
そのエレガントなデザインと実用的なレイアウトはフランス車のひとつの到達点だと思います。
中東で引き続き生産が行われ、いまでも並行モデルが少し流通しているようです。
(注:2013年当時)
天野の自宅の部屋にはデビュー時の新聞広告のコピーが額にいれて置いてあります、有明のシトロエン・ジャポンを閉めるときに貰ってきました。
Xmもあったんですが、Xmはユーザーの知人にあげちゃいました。
キャッチコピーは「エグザンティア 進化はかくも美しい」
Xantiaは1993年発表です、DS→CX→Xm→C6と続くシトロエンのフラッグシップモデルの下位に位置する、いわゆるハイドロ実用車ラインに当たります。
GS→BX→Xantiaという流れですが、BXに比べて車格が上がった出来になっているのはZXというノンハイドロの実用車ライン(VWゴルフという全世界でとてつもない数を売るモンスターに対抗するべく作られたモデル)が追加されたせいで格上げされた形になったのでしょう。
Xantiaの後継モデルはC5になりますが、現行C5(最終モデルX7)はかなりラグジュアリーに振った形になっていますので、ある意味ハイドロの実用車ラインはⅡ型(X3)C5でおしまいになったのかもしれません。
またC5に関しては機会があれば書きたいと思っていますが、前期型のC5(X4)は実用をさらに推し進め乗用車とミニバンの間を狙って作ったような車です、だだっぴろいとも言える広大な乗用スペースと、ワゴンがいらないくらいの積載量を誇るラッゲッジスペースはまさに実用+コンフォートの集大成になっています。
(実はⅠ型のセダンはその戦闘機のような流線形のデザインが今見ても新鮮で僕は大好きです)
↑これが後期型です1998年モデル以降はこの顔になります
XantiaのハイドロシステムはDSから続くハイドロニューマチックの直系で、エンジンの回転をベルトを介してポンプを回しオイルを圧縮して車を持ち上げています。パワーステアリングとブレーキシステムも同じオイルを回して使っていますのでエンジンが止まるとハンドルが重くなりブレーキが効かなくなり、車高がぺったんこになります。
V-SXとかExclusiveという上位グレードに搭載されたハイドラクティブⅡもより細かな制御をコンピューターでやっているのと、アディショナルアキュームレーターを追加してより制御の幅を広げた違いはあれども基本的な構造はニューマチックと同じです。
ハイドロというサスペンションシステムは車体の姿勢変化や加重変化に関わらず車を地面と平行
にしてあげることで、安定感や操作のしやすさ、乗り心地の良さを目指して作られました。
実は同じボディに搭載されながらハイドロニューマチックとハイドラクティブⅡは全く乗った感じも乗り方も違います。ニューマチックの車はそれ以前のハイドロ車と同じく車体の加重変化や傾きに対してパッシブ:受動的です、傾いたあるいは加重のかかった後に油が供給されて戻すので傾いてから姿勢が戻るのに若干のタイムラグが発生します。
例えば中央道や夜中の首都高みたいな比較的アベレージスピードが高くてコーナーが多い道でニューマチックの車は一度大きく傾いてそのあと車体の傾きが戻ります、車体が戻る前に踏み込むとものすごくアンダーステアが出ます、でもコーナー手前できちんとブレーキングを終えて車体が戻ってからアクセルを踏んでいくと思った通りに走れます、コーナリングの基本に忠実にを要求されるわけです。
それに対してハイドラクティブの車はヨーセンサーやステアリングの切り方、アクセルの踏み方、スピードなんかをコンピューターが計算して先を予測して準備します、演算速度は当時1/25秒と言われていました。
ハイドラクティブ車はコーナリングのセオリーも何も関係ないです、どっから踏んでもオンライン!
シトロエンが目指した安定感はそういう意味ではハイドラクティブにあります、癖があって面白いなんてのは基本工業製品に求められるものでは無いのでニューマチックが無くなってハイドラクティブに全面置き換わったのはある意味当然と言えるのではないでしょうか。
ただハイドラクティブⅡはあまりに忠実に車高を調整しようとするあまり、例えば信号待ちで停車中、車体が真っすぐならないままに止まった場合はそれを調整しようとするのですが、タイヤが動いていないと車高が感知できないらしく、お尻を止まったままで上げたり下げたりしてしまったりします。
(そういう場合はブレーキを少し緩めて少し走ってあげると再び安定します)
そこが可愛いんですけどね。
C5以降のハイドラクティブはリスク細分のためパワステもブレーキも別系統になっています、そういう意味ではDSの廉価版でIDというモデルがありましたがC5は正確にはそっちの子孫なんでしょうね。
C5が出たときにお客様にどこが変わった?って聞かれて「圧倒的に無駄に動かなくなりました」って説明していました。
「エレクトリックとハイドロリックの怪物」と小林彰太郎さんを言わしめたC5は制御が細かく出来るようになった分、ある意味自然な乗り味で、洗練されるってことはこういう事なんだろうな、と頼もしくもあり、ちょっと寂しくもあり、複雑な思いでした。
↑こちらが前期型、ボンネットのマークがグリルに移ったタイプです。
エグザンティアのデビュー当時にはボンネット上にあったシトロエンマーク:ダブルシェブロンは翌年には上の写真の様にフロントグリルに移され、運転席にエアバッグを付け、ABSが全車標準装備、エンジンを切っても車高が下がらないようにオイルラインにバルブを付けたアンチシンク機能を追加、ホイールを15インチに変更しました。
96年にはホイールを16インチに変更、ステーションワゴンのブレークが追加
97年には助手席にエアバッグを装備
98年には3リッターのV6Exclusiveが追加、大幅なフェイスリフトが行われ、全長が少し大きくなり、サイドエアバッグも装備
遅れて導入された2リッターモデルもエンジンがツインカムになり、ATが電子制御の自社製品に変更ななりました。
それまでのSOHCエンジンはガラガラうるさかったですが(スタンドでディーゼルエンジンだと思われて軽油を入れられそうになったり、夜中に団地の友達の家に行けない、って言われていました)トルクの鬼みたいな性格で実用的で扱いやすかったです、しかし!いかんせん遅かった!上り坂では踏んでも踏んでも進まない、トラックに煽られる、仕方なく登坂車線に、なんてエピソードも多く聞かれました。
東名で大阪方面に行くときは箱根をようよう越えて「帰ったら買い換えよう!」と思うのですが、帰りはすいすいビュンビュンで「なんていい車なんだ!」って感動しちゃうんです、んで結局買い換えられないw
当時は西武自動車販売とマツダ・ユーノスの二つの輸入元があり、それぞれ競合したりけん制したりしながら売っていました。
ちなみにマツダ・ユーノス系でで輸入されたのは96年モデルまでだったようで(一部97年モデルも入っていたかもしれませんが)フォード傘下になった後はユーノスチャンネルも廃止されてしまいました。
Xantiaデビューの頃は天野はまだ車屋になっていなくて、中古のBXに乗っていたのですが、付き合っていた女の子が桜新町に住んでいてよく西武自動車のお店を外から覗いていました「エグザンティアかっこいいなぁ!」とか言いながら
(子供がおもちゃ屋のショーウインドを覗いている状態!)当時は自分が車屋になるなんて思いもしなかったです。
↑これがブレーク、日本でも人気車種になりました、個人的にはセダンと呼ばれたハッチバックのほうが好きでした。
今見ても上品できれいな車です。
95年に西武自動車がクライスラージャパンセールスになって桜新町もクリントン大統領来日、店舗視察に合わせて全面改装してクライスラーのお店になってしまいました。
(日米貿易摩擦協議真っ最中!アメリカの車を買え買え言われてた頃です)
シトロエンのディストリビューターは新西武自動車に引き継がれ、2002年4月にセゾングループの組織改革あおりで閉鎖、シトロエン・ジャポンが出来ました。
その少し前Xantiaは2000年モデル(最終はレザーシートのハイドロニューマチックモデルだった気がします)で終了、翌2001年にはC5がデビューします。
Xantiaの魅力はもちろん乗り心地やハイドロによる安定感や運転のし易さもありますが、それより何気なくてエレガントなそのデザインと実用性、サイズ感だった気がします。
前期型のハッチバックタイプが全長444cm、全幅175cm、輸入車が全般に大型化した現在、このちょっと華奢な感じは新鮮です。しかもリアゲートを開けるとびっくりするくらいのカーゴスペース!
うちの家内なんかは「うち、ちょこちょこ車変わってるけど、エグザンティアが一番好きだった」って言います。(でもこの間現行C4を見せたんですけど、後部座席に乗った感じがエグザンティアみたいだ、って言ってました。ゆく川の流れ絶えずして、って事でしょうか)
Xantiaもまだ頑張ってご愛用頂いているお客様がいらっしゃいます、最終から早14年経って(2013年当時)維持にお金がかかることと思いますが、代えがたい雰囲気を持つ名車であることは間違いありません。
先代のBX、後継のC5とも全く違うコンセプトで作られたXantiaは時代を映したように、今乗っている人にも、かつて乗っていた人にも、懐かしさではなく何故かリアルな現実の夢みたいな雰囲気を持ってもらっている気がします。
ブレークを含め台数は結構売れたので以前エグザンティアに乗っていたよ、って言っていただくお客様もいらっしゃっていただきます、今のラインナップも形は変わって色々良くなっているところもありますが、基本は地続きな感じを持っていただけると思いますので、懐かしく昔を思い出すことが少しでもあるなら、迷わずに是非帰ってきていただければ必ず幸せになります。
すっげえ長くなってしまいました、これでもだいぶ削ったんですけどね、ここまで読んでくれた方には感謝します、それではまた。